サイドマウント×WRECK(沈船ダイビング)

記 加藤 栄一

常に新しいもの楽しいものを探求し続けるのがデイドリームイズム。

2016年4月、我々はWRECKダイビングオンリーのツアーをスタートさせました。
その日の全てのダイビングでWRECKに潜る。
『WRECK 2TANK DIVE』がそれです。

意外かもしれませんが
WRECKダイビングとサイドマウントには切り離せない関係があります。

それは・・・

『WRECK』において
『サイドマウント』が有効な手段であるという事です。

サイドマウントは元来、ケーブ(洞窟)を潜る為に作られたスタイル。
狭い個所をいかに通り抜けるか
その点に特化し開発されたといっても過言ではありません。

WRECK内部はとにかく狭い。

船内という限られた空間
そこに
エンジンルーム 厨房 居住区・・・・
多くの空間を設けなくてはなりません。
その為一つ一つの部屋・通路はその目的にあった最小限の空間に留まっています。

ただでさえ狭い環境なのにも関わらず
船内は折れたパイプ・鉄板が吐出し
無造作にロープ類が垂れ下がり
爆撃を受けた個所は、船壁が幾重にも折り重なり複雑化しています。

困ったことにこれらは、長期間水面下にあった為
大半が劣化し崩れやすくなっているのです。

パラオパシフィックリゾートホテルから南へ500m
『隆興丸』という船が眠っています。
船橋内部 水深25mの様子をご覧ください。

配線が垂れ下がり 複雑に入り組んだ様子が伺えしれるかと思います。

この様な場所はWRECK内部ではごく普通な光景。
肩幅すれすれの隙間を通り抜けることも多いのです。

バックマウントと比べ流線型にまとまったサイドマウントスタイルは
障害物との接触を少なくし
極端に狭いところではシリンダーを外し通過することができます。

驚いたことに有効的な点はそれだけではありません。
実際にWRECKに潜った方はご存知だと思いますが、
船底にはシルト(堆積物)が沈殿しています。

WRECKのシルトは特に粒子が細かく、一度舞い上がれば無視界環境となり
舞い上がった状態は長時間続きます。
そうなれば自分の位置を見失ってしまいます。

オープンウォーター環境(頭上開放環境)であれば
すぐさま浮上すれば事なきを得られるのですが
船内はオーバーヘッド環境(頭上閉鎖環境)です。
無視界の状態から自分が入ってきた入口に戻るか
その他の脱出口を見つけ出さなければなりません。

その為WRECKダイビングにおいて
シルトを巻き上げる行為はタブー中のタブーとされています。

このシルトの巻き上げに対してもサイドマウントは特化した利点があります。

それは

トリム姿勢のとりやすさです。
体が水平姿勢で尚且つひざ下が身体よりも下がっていない状態
これがWRECKダイビングにおいて重要なポイントの1つ
シルトを巻き上げないコツの基本なのです。

この姿勢は常にフィンが頭と同じ高さ、
もしくは頭よりも高い位置となります。
即ちシルトの溜る船底から最も離れた位置にフィンを持っていけるのです。

この写真のモデルはスウェーデン人(長足)なので
フィンの位置は頭上となりますが
純日本男児(短足)の私の場合
フィンの位置が頭と同じ高さとなってしまうのはご了承下さい。

この姿勢を保持し
最小限のフィンキックを行えば
まず船底のシルトが巻き上がらない事は容易に想像できるでしょう。

今回、起筆させて頂いた内容は
サイドマウントがWRECKに有効な点のほんの一部です。
この他にもサイドマウントの基本であるコンフィグレイションから始まりフィンワーク・ラインワーク等々
サイドマウントでWRECKを攻めるという事はメリットが盛りだくさんなのですが
それを書いてしまうと終わりが見えなくなってしまうので
それは別日にという事で・・・

サイドマウントSPの取得後はWRECKダイビングでスキルに磨きをかけては如何でしょうか?